発電を考える

HOME > 原子力発電はエコか?

原子力発電はエコか?

現状ではそういう人は少なくなりましたが、福島第一原発の事故が起こるまでは原子力発電はエコだという意見もありました。結果的にこれだけの事故が起こってしまったのでエコだとはとても言えない状況ですが、事故が防ぐことができたとしたら、原子力発電はエコなのでしょうか?

原子力発電がエコだという根拠は、主に二酸化炭素を排出しないという点にあります。火力発電が石炭や石油などを燃やすことでどうしても二酸化炭素を排出してしまい、それ地球温暖化につながるといわれている中、原子力発電は二酸化炭素を発生しないからエコだということです。たしかに二酸化炭素の排出量を減らすことは、今や世界的な課題となっており、火力発電所からの二酸化炭素が問題視されていますから、二酸化炭素を排出しないという面では原子力発電はエコなのかもしれません。しかし、原子力発電では核分裂で起きたエネルギーを電力に変える効率が悪く、その多くが熱エネルギーとして海水を暖めることで捨てられているということも忘れてはいけません。つまり、原子力発電所は温室効果ガスは排出しないものの、海の水を直接暖めてしまっているのです。これでは意味がないかもしれません。

また、使用済み核燃料の問題もあります。現在では使用済み核燃料の放射能を取り除く技術がないため、放射能を発する使用済み核燃料は密封されて地下深くに埋められることになっています。これがなんと最低数十万年。原子力発電のさかんなアメリカでは百万年が必要といわれています。人類が地球に誕生してまだ50万年だというのに、この先100万年もの放射性物質の管理というのは現実的に可能なのかということです。そして事故が起こってしまうと地上にも地中にも海にも放射性物質がばらまかれてしまい、人々の生活が脅かされます。そういった面ではとてもエコとは言えない発電です。低コストで大量の電気を作ることができるのは魅力的ですが、大きな事故を経験した今となっては、リスクが大きいと言わざるをえないでしょう。

Copyright© 発電を考える All Rights Reserved.