発電を考える

揚水発電

揚水発電は、水力発電の一種で、発電の方法は水力発電と同じです。水力発電の場合、ダムにたまった雨水などで水流を作ってタービンを回すのですが、揚水発電の場合は使う水をくみ上げて使います。基本的には坂の上と下にため池やプールを作り、上から下に水を流してその間でタービンを回します。下に流れ落ちた水を再び上のプールにくみ上げるので水が不足するという心配はありません。ただし、くみ上げるのに電力を使うので、作る電力と使う電力が結局かわらないということになるばかりか、結局はマイナスになってしまうこともあるのです。それでは何のために揚水発電を使うのかというと、それは揚水発電が蓄電池としての役割をもっているためです。電気というのは、基本的に溜めることができないので、発電所で作った電気のうち使われなかったものは捨てられてしまいます。一般的に昼間は電力が多く使われるのでそれほど余剰電力はないのですが、夜間はどうしても余ってしまいます。火力発電の場合は火力を落としたり、水力発電の場合は水を止めたりすることが発電量の調整はしやすいのですが、問題は原子力発電所です。原子力発電所は発電量の調整がやりにくいうえ、一度止めると起動に何日もかかることもあって、夜間の発電が無駄になってしまうこともすくなくありません。夜間に余った電気を使って水を引き上げて、昼間に発電を行う揚水発電は、電力を無駄なく使うための電池の役割を果たすことができるのです。しかも、夜間に火力発電や水力発電の発電量を落とさず、その余った電力を揚水発電に使えば、昼間の最大発電量が大きくなるため、いざという時の備えとしても便利な存在です。原子力発電があまり使われなくなっている今、原子力発電の夜間電力の利用法としての需要は少なくなりましたが、どうしても電力が足らない時の備えとしては大切な存在だといるでしょう。ただし、水をくみ上げるために火力発電で電気を作るのであれば、燃料が必要になるなどコストもかかってきますので、あくまで予備として使うほうが経済的です。

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