発電を考える

地熱発電

地熱発電とは、地中の熱を使って電気を作る発電方法です。火力発電や原子力発電と同じで、タービンを回すことによって電気を発生させます。地球内部の熱を使って発電するので、特に燃料などを必要とせずに発電することができるのが魅力です。地熱発電は火力発電のように熱で水を沸騰させて蒸気を発生させるのではなく、地底のマグマなどの熱が地下水を蒸気に変えたものを利用します。地下700m~3000mほどの深い井戸を掘り、そこから熱水や蒸気を取り出して発電を行うのですが、大変なのはこの場所を探すということです。日本は火山が多い国なので、他国に比べると地熱発電に適した場所は多いはずなのですが、どこででもできるというわけではありません。もちろん調査してから試掘をするのですが、それでも十分な蒸気が得られなければ不適格となるわけで、そうした調査に莫大な費用が必要になります。しかも国や行政からの支援は少なく、事業者にとっては稼働までのリスクが大きいのがネックになっており、日本の電力に占める地熱発電の割合はいまだ1%未満と、諸外国に比べると大きく遅れを取っているといえるでしょう。また、そもそも候補地の多くが国立公園や国定公園に指定されていて発電所の建設ができず、指定されていないところも火山の近くで熱水が出やすいところはたいてい温泉地となっていたりします。そうなると景観を損ねることは観光に支障がでるということで地元の理解が得られにくいので、なかなか普及しないのが現状です。景観だけではなく、地熱発電を行って蒸気や熱水を採取したり、井戸を掘ることによって温泉の水質が変わったり、温泉の出が悪くなることも懸念されるのです。とはいえ、地熱発電は燃料の輸入に頼る必要のない再生可能エネルギーであり、火力発電の問題点となっている二酸化炭素などの排出量も少ないので環境にもやさしく、季節による発電量の影響もほとんどありません。資源の乏しい日本にとっては今後の利用が期待される発電方法の一つです。

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